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ブログ開始日 2021年12月31日

当ブログの考察は当事者の体験に基づく内容です。ご了承の上でお読みください。

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はじめに/目次

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言壁の棺 — 発達障害考察ブログ

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発達障害の水際対策⑤—症状の性質を理解する



 依存症を克服する上で不可欠となる条件が「依存要因を遠ざけること」である。アルコール依存ならお酒、ニコチン依存なら煙草、ギャンブル依存ならギャンブル、そして発達障害なら言葉を遠ざける。

 ただ、発達障害の場合は言葉を遠ざけただけでそれで解決、というわけにはいかない。発達障害は他の依存症と違い先天性説が定着するくらい、当事者は長期にわたって衝動性と麻痺の影響を受けている。同世代の定型に比べて色んな基本能力が足りていないのだ。

 そのまま活動するとまた生きづらくなって、当事者の境遇に逆戻りしてしまう。当事者の克服への試みが失敗し続ける理由がそこにある。

 

衝動性が鎮まれば改善できる症状

 ギャンブル依存症に伴う「金銭感覚の麻痺」の場合、強まった衝動性が本来備わっている管理能力を妨害しているだけなので、衝動性が鎮まれば麻痺も消え、自ずとできるようになる。

 発達障害の場合はケアレスミスがそれに当たる。この症状も麻痺の要因が大きいからだ。訓練をすれば精度を上げることもできる。

 

体験と練度が必要な症状

 衝動性を鎮めただけでは改善が難しい症状もある。それがコミュニケーション感覚と仕事の習得力だ。どちらも周囲への配慮や空気を読む力、効率やコツなど、体験に基づく社会性と相応の練度が求められるものだ。

 症状に振り回されていた間に、それらの感覚が定型的に機能した場合のイメージトレーニングをしていたとして、その精度次第では衝動性が鎮静化すればすんなり適応できるケースもあるだろう。それでもベストマッチすることはありえない。ケアレスミスと違い、これらは「不完全を乗り回す感覚」が問われるからだ。

 すぐに的を得た行動ができたとしても、そこから感覚の調整が必要だ。適応できるまでには数ヶ月から数年かかると想定するべきだ。

 

「常識の欠落」は後遺症

 体験と訓練でもどうにもできない症状がある。それが「常識力」である。当事者は社会人経験と日常の行動パターンの偏りに伴い、習得する知識や単語にも著しい偏りが発生する。専門知識など、元々勉強して習得することが前提となっている事柄なら大きな支障はないが、同じ時代に生きていれば誰でも知っているはずの常識など、特別に教わる時間がとられない情報の欠落はなかなか厄介である。

 例えば「総理大臣の名前を知らない」とか「鎌倉幕府の成立を知らない」など、どうやって生きれば知らないままでいられるのかわからないものである。そういう類の知識の習得方法はあまり開拓されていない。しかも常識の基準というものは日々変化する。

 知識として覚えるだけなら関連情報を調べるなどして知ればいい。ただ、周囲と同じ水準で理解するとなると話は別だ。私自身の体験で言えば、知らないことがある度に勉強する時間をとるなんて、とてもじゃないけど維持できない。大変なことなのだ。

 それだけではなく、日常の見聞で習得したものは大体が不完全である。正確すぎても詳しすぎても、それらは偏りとなって他人との距離を生む。ただ調べて覚えれば良いものではないのだ。

改善目標が「普通の人」である場合、これは大きなネックとなる。私はこれを「発達障害の後遺症」だと考えている。

 

   ◇ ◇

 

 これが発達障害の症状を「改善」という角度から見た基本的な考え方である。大別して3種類だ。これを理解することによって改善が現実味を帯びてくる。「じゃあ、あの症状はこうすれば改善できるのでは?」そう思えたら勝ったも同然。その探究心が克服する上で欠かせないエネルギーとなる。

 一応の補足だが、他の依存症でも子供の頃からかかっていたなど、症状に振り回された期間が長ければそれだけ発達障害と同じ症状を抱えることになる。あらゆる依存症の話に発達障害との併発が指摘されるのはそのせいである。