放浪旅中(静寂—社会性—低)
図の根拠
上記図は、洪水状態が引くと共に浸水状態も解消され、若干海の影響は強いものの、定型発達の静寂状態のように「海・渚・社会」が分かれている状態を表現した。放浪旅中は黙々と歩くのみで誰とも会話をする必要がなく、言葉の使用量が激減したからだ。
洪水と浸水の影響として、社会性を示す建造物が少なく、基本の形「○/△/□」以外の形状をした非定型を示す建造物を複数配置した。
放浪旅中の注目点
- 愛知県から東京を目指してひたすら歩いた。一日10km〜20km、多い時で30km。
- お寺や道の駅など、その日の寝床に決めた場所で現地の人と少し雑談をする程度で、会話はほとんどなかった。
- 毎日日記を書いていた。1日の全てを記すというルールで取り組んでいたので、毎日2〜5時間かけて書いていた。
- 荷物は最初は着替えや食べ物、筆記用具類など軽いものばかりだったが、途中からテントと寝袋が加わり、10kgくらいになった。
解説
毎日同じ光景の中で同じ行動を繰り返す日常ではなく、毎日違う景色を見て違うことをする放浪旅なら、脳に新鮮な刺激が与えられて成長するのでは? と考えて決行した放浪旅だったが、実際には言葉を自分から遠ざけて脳の衝動性を大きく鎮める効果を得ていたと思われる。刺激による脳の活性効果なんてものはそもそもなかったかもしれない。
放浪旅2週目か3週間目くらいから「今ならもっといい仕事ができるのでは?」と思うようになった。それがどこから湧いてくる気持ちなのかはわからなかったが、静寂状態になったことを無意識なりに察知していたものと思われる。実際、放浪旅後に前職と同じデバッグの仕事に戻ったところ、周りの同僚と足並みを揃えて仕事ができたし、会話もできた。
放浪旅は一ヶ月間だけだったが、それまでの苦労はなんだったのかと思うほど回復できた。脳は生き物としてみると単純だな、と思う。
定型発達の場合
下記図は比較用に作成した、同時期における定型発達ケースの海辺モデルである。
これも前回と同じ図。放浪旅は一ヶ月間だけなので、特に変化はつけなかった。