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ブログ開始日 2021年12月31日

当ブログの考察は当事者の体験に基づく内容です。ご了承の上でお読みください。

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言壁の棺 — 発達障害考察ブログ

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当事者の本当の境遇⑥—社会人期(30代)



社会人期(30代)

 同期が管理職になったり起業している頃だが、20代を転職と精神疾患の治療に費やした当事者は、定職のある暮らしからは遠いところにいるだろう。

 当事者の設定について、本章では「20代は転職を繰り返した、取得した資格は無し、一人暮らしは継続中、20代後半に発達障害の診断が下りた、障害者手帳は取得済み(3級)、精神薬の使用は無し」とする。

 

   ◇ ◇

 

 転職を繰り返した20代。オフィス業務はどの会社でも習得ができず、ファーストフードや小売店の接客・販売も人並みにできなかった。生活費の為に仕事を掛け持ちしていたがそれもキツくなり、仕事を一本化する為に障害を隠してクローズ入社で工場へ就職。

 雇用形態はアルバイト。業務内容は同じ動作を繰り返すライン作業。週5日フルタイムで手取りは15万程度。それでも残業代はつくし社保もある。一人暮らしなら食っていける。

 

   ◇ ◇

 

 障害者手帳を持っていても、障害者雇用枠+学歴資格不問の募集枠の大半は、障害者年金が支給されていることを前提としたフルタイム手取り11万〜13万程度の仕事である。配慮のある職場環境で働きたくても選べない。一人暮らしをしているなら尚更だ。

 また精神等級3級で、職種次第ではクローズでも労働ができる程度の症状の重さとなると、障害者年金受給までのハードルは相応に高くなる。

 

   ◇ ◇

 

 20代を我武者羅にでも社会と関わって働いていれば、30代のどこかで、どこかには落ち着く。工場の作業員はその終着点になりがちな1つと言える。

 同じ動作を繰り返すだけの単純なライン作業ならなんとかなる。20代の頃はこれでもミスを繰り返したが、あの頃の経験が30代になって活きてくる。

 ネットで他の当事者のエピソードを読むともっと悲惨な境遇がいくらでもでてくる。自分はよく頑張ったほうだと思い込む。

 

   ◇ ◇

 

 機械の駆動音がずっとうるさい。でもネックなのはそれだけである。ほとんど人と話す必要がなく、黙々と作業をするだけでいい仕事。自分に合っているとしか思えない。言葉を主として使用せずに進める業務だから合っていて当然だが、まさかそれがポンコツにならない条件だとは夢にも思わない。

 

   ◇ ◇

 

 貯金はない。恋人もいない。友人と言える存在もいない。それでも「仕事ができない」という人生最大の悩みが減ったことにより、少しずつ衝動性が鎮まっていく。

 これに伴い、20代の頃の記憶も霧のように不鮮明になっていく。

 

   ◇ ◇

 

 発達障害の症状に「忘れられない障害」という話があるが、長年定着していた衝動性の鎮静化、つまり症状の寛解が起こると、人格化した衝動性と一緒に記憶の大部分も巻き込んで消えていく。

 当事者は強すぎる衝動性に意識の主導権を奪われたまま、そいつに10代〜20代の人生を滅茶苦茶にされ、その人格化した衝動性は30代になって日常が落ち着いた頃に鎮静化していなくなる。

 

   ◇ ◇

 

 一人暮らしだからそれなりに金も余る。持て余した衝動は誰に誘われるまでもなく、酒と煙草、ギャンブル、ゲーム、外食に導かれる。

 発達障害の衝動性が消えた後、今度は借金地獄と不摂生による糖尿病が待っている。

 

社会人期(30代)のポイント

・当事者が20代を支援無しで生き抜いても、「転職回数多し・資格無し・特に実績無し」という30歳が誕生する。

・年齢的にそれまでの不摂生がたたり、心身にいろんな不調が起こり始める。転職の頻度次第では20代のうちに健康診断を受けていないケースもある。

・20代頑張っていればどこかには落ち着ける。仕事や生活に適応できると、それに伴って人格化した衝動性が鎮まっていく。