私が話す言葉にはとにかく「オノマトペ」が多かった。オトマトペとは擬音のことである。「キーン」とか「ドーン」とか、私が話す言葉にはそんな単語がよく出てきた。何か意味があってそうしていたわけではない。語彙が乏しかったせいだと思うが、擬音を使わないと言葉が作れなかったのだ。
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例えば「コンビニへ急いで行った」は「コンビニへぴゅーっと行った」とか「キーンと行った」、「プールで泳いだ」は「プールでばしゃばしゃ泳いだ」などなど、修飾語にあたる部分やその前後で擬音を使うことが多かった。
この症状は比較的早く治ったこともあり、当時の喋り方をあまり思い出せないのだが、大体の様子は想像できたと思う。
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これが治ったのは中2の時だった。最初の違和感は国語教師だった担任のいじりだった。何の話だったかは忘れたが、授業中に当てられて昨日の放課後の行動を話すことになった。別に怒られたとかそういう話ではない。
私は普通に話していたのだが、オノマトペが多かったのだろう、先生はニコニコしながら、「はい、キーンねw ピューとねw」と私のオノマトペの部分をオウム返ししたのである。
このいじりをきっかけに、「自分の言葉には擬音が多い」と気付いても良かったと思うが、この時は気づけなかった。
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それから数日後だったと思う。休み時間にクラスメイトのAくんと担任と私で談笑をしていた。その会話の最中にAくんが「お前その効果音やめろw」と私に言った。この時に数日前の先生のいじりの意味と、自分の話し方に擬音が多いことが理解できた。
不思議なことに、私のオノマトペ癖はこの注意を境にピタリと止まった。