これは小2の時だったはず。ある日、母が私に家庭教師をつけた。当時の私にとっては突然のことだったが、ちゃんと経緯がある。
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小1の夏休み、私は夏休みの宿題を最終日までしなかった。夏休みが始まった時に母が宿題の有無を確認したそうだが、私は「ない」と答えたそうだ。もちろんあった。当時の私は学校で他の生徒と同じように宿題の説明を聞いたはずだが、知能的に理解できなかったということだ。
それが夏休みの最終日に発覚。私は母に怒られながらも、泣きながらやったらしい。あと、夫婦共働きで親は私の勉強を見る時間がとれなかった。
家庭教師はそういうことを気にした上での判断だと思う。
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家庭教師は親が経営する飲食店でアルバイトをしていた大学生の男の人だった。家庭教師の日は週に2〜3度あったと思う。細かい内容までは流石に覚えていないが、教え方におかしなところはなかったと思う。極めて普通だったと思う。
おかしいのは私の方だった。私は事あるごとにあくびをした。教わっている間ずっとあくびをしていたといっても過言ではない。
さて、久しぶりのクイズの時間である。
私はどうしてあくびをしていたのでしょーか!?
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正解は、「答えを考えている時に〝考えている〟と思われたくなかったから」でした。はい、正解者に拍手。
状況がよくイメージできない人の為に現場の様子を説明しよう。
例えば先生が「1+1は?」と聞く。私は答えがわかるわからないに関係なく、まずあくびをする。それから「2」と答える。先生が問題を読み、答えを私に聞く。私はあくびをしてその間に考えて答える。あくびをしている間に答えがわからなければ、またあくびをして時間稼ぎをする。
ずっとこんな調子である。
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なんであくびをしまくっていたのか。大きな理由が2つある。それは答えを考えることを「かっこわるい」と思っていたこと。当時の私は、考える間もなくスパッと答えられることが最良でありそれが普通だと思っていた。
もう1つが、わからないと怒られる教育を受けていたからである。これは母のせいだ。短い時間ながらも勉強を見てくれた時があったが、私がわからないと「なんでわからんのや!」「もーどうしてや!」「お前は知恵遅れか!」と罵られた。そんな記憶しかない。
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そのあくびのせいかどうかはわからないが、家庭教師は二ヶ月くらいで終わったと記憶している。一度「なんであくびをするの?」と聞かれて、考えてることを隠したいとかそんなことを答えた気がするが、先生の反応もその時の会話は忘れてしまった。