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ブログ開始日 2021年12月31日

当ブログの考察は当事者の体験に基づく内容です。ご了承の上でお読みください。

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はじめに/目次

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言壁の棺 — 発達障害考察ブログ

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昔話25:自分は同性愛者ではないかと悩んだ話



 21か22歳くらいの時だったと思う。その頃の私は高校中退と同時に入社した家業の飲食店で働いていて、うだつの上がらない日々を過ごしていた。皿洗いの業務用洗剤で手はあかぎれだらけでボロボロ、経営は自転車操業でクレジットカードローンの支払い地獄、ホールスタッフが自分しかおらず客からのクレームは全部自分、そんな境遇への不満を言い出せばきりがなかった。ぐちゃぐちゃすぎた。

   ◇ ◇

 そんな日常の中で、私が唯一希望にしていたのがオンラインゲームだった。ネットの世界を利用して人間関係の勉強をしていたのだ。

 その時は自分の分身キャラクターに女性キャラを使っていた。私はゲームで女性キャラを使うことにこだわりがあったわけではないが、自分の人格を作り直すという方針からみて、リアルと同じ性別でプレイするのではなく異性を選んだ方がゼロから考察を組み当てることになるし、比較になるし、つまり「この方が効果的ではないか」と思ったからそうしたのだ。喋り方や性格も女性を意識した。ネカマプレイというやつである。

   ◇ ◇

 そんなある日、ふと同性に対して恋愛感情のようなドキドキを感じるようになっていることに気がついた。相手はお客さんや親父、友達などなど、同姓なら誰でもこの対象になった。

 でも生活に支障はなかった。なぜならこの感情が私の中でも異物でしかなく、適当な距離を置いて向き合えたからだ。どう扱っていいのかわからなかった。

   ◇ ◇

 この感情は数ヶ月ほど続いた後、知らないうちにフワッと消えた。気がついたら感じなくなっていたので、特に気にもとめなかった。

 そして数年後にこの現象の正体がわかった。

 謎の恋愛感情の正体は「吊橋効果」だったのだ。

   ◇ ◇

 30代前半の頃、発達障害の当事者会で知り合った女性にドキドキしてしまったことがあった。ただその時のドキドキには違和感があった。一緒にいるだけでなぜか不安になるし、自分には妻もいるし、相手の女性は好みかと言われればそうではなかった。

 その女性とは当事者活動の中で何度もお会いした。その交流の中で気がついたのが、女性は元キャバ嬢で、超がつくほどの多弁で、会話が上手であること。

 ここまで整理したところで答えが得られた。

   ◇ ◇

 つまり、情緒不安定な私は彼女の大量の言葉のせいで感情が煽られ、まず不安に陥った。その時の感情を「恋愛感情」だと誤認していたのだ。

 それと同じことが実家にいた頃も起きていた。実家での暮らしは1日中、声と音と音楽に包まれていた。店内にかかる有線のBGM、ホールから聞こえるお客さんたちの談笑、調理場の喧しさ。聴覚が休まる時間なんて全然なかった。

   ◇ ◇

 謎の恋愛感情はこの気づきと同時にぴたりと止んだ。精神疾患寛解エピソードには、気づきで症状が鎮まった事例があるけどそれは本当だと思う。

   ◇ ◇

 この体験を振り返ると、いつも考えることがある。LGBTのことだ。実家暮らしだった頃はLGBTというワードすら聞かなかったが、もしあの当時、当事者のコミュニティの存在が耳に入っていたら、私もその輪の中に入って自分の症状をLGBTだと思い込んでいたかも知れない。

 実際、性転換手術後に恋愛対象が異性に戻り、後悔しているLGBT者当事者がいるという話もある。その人の境遇はもしかしたら私のように、言葉に覆われた日常だったのかもしれない。