言壁の棺

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幕間4:高校を中退したらニキビが治った話

 小4の頃、頬にニキビができた。ポツポツとした頬のできものは数日で顔中に広がり、私の顔面は熟れたイチゴのように真っ赤になった。そのあまりの変化の速さは周囲にもわかったようで、当時の担任は私の顔を見て「すっごい!」と言って驚いた。

 元々皮膚は弱かった。いつもどこかしらに湿疹、汗疹、かぶれができていた。でもそれらは服に隠れるところだった。ニキビはいつでも人から見られるところだったから、すごく嫌だった。

   ◇ ◇

 このニキビがどうしても治らなかった。何度も皮膚科の診療所に行って軟膏をもらった。軟膏は臭かった上に、塗ると顔が白くなるのがたまらなく嫌だった。だから塗るのをさぼることもあったけど、塗らないと明らかに悪化した。そうしてまた塗るんだけど完治はしなかった。 

   ◇ ◇

 中学生の時はいじめ状況と運動部に入ったこともあってかニキビが悪化した。この頃、医者から「ほっぺたにニキビと湿疹が同居してるよ」と言われた。薬の種類が増えた。女の子からの評判が気になる年頃の私の顔は、潰れたトマトのようにぐちゃぐちゃだった。何度も診療所に行ってる内に、医者がニキビの芯を取るときのやり方を見て覚えてしまった。

   ◇ ◇

 高校生になってもニキビは治らなかった。高校は男女共学になったばかりだったこともあり、女子生徒はほとんどいなかった。そういう意味で悩みの種は1つ減ったといえるが、ニキビのことで気落ちしない日はなかった。

   ◇ ◇

 小4にして爆発的にニキビができた原因は、まずフランス料理店という家の食事事情が深く関わっていると思う。お店で出す料理が食卓に回ってくるのは日常的なことだった。油やバターをこってりつかった料理たちだ。そんで小4のある日、友達の家で連日ポテトチップスにありつけたことがあった。あれが引き金だったと思う。

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 「今後はポテトチップスなど油っこいものを食べすぎてはいけない」と医者から言われた。そのいいつけを忘れたことはなかったが、しっかり厳守したこともなかった。たまにお菓子は食べたし、食卓に並ぶ料理はしっかり調理されたものばかりだった。

 まぁお菓子に関しては、同じ年頃の子たちと比べれば少ない方だったと思う。我が家は置き菓子やお茶請けのない家庭だった、と言えばわかるだろうか。嗜好品は自分のお小遣いで得られる分だけだったのだ。

 料理に関してはやはりニキビが喜ぶ方向に調理されたものは多かったと思う。量も今思えばすごかった。よく太らなかったものだ。

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 中学生の半ばから私はある疑問を抱えた。本当に食べ物だけのせいなのだろうか、と。というのも、学校が休みの日はなぜかニキビの赤みが薄らいだからだ。このまま治るんじゃないかと思ったこともある。それくらい鎮まった。でもやっぱり治りはしなかった。

 けど、「学校に行ってる時はニキビが悪化する」というのは私だけの知識になった。

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 それからわたしは色々あって推薦で入学した高校を二年で中退した。

 中退後は家業の飲食店に就労した。

 ニキビは中退後、二週間で綺麗さっぱり跡形もなく治った。何の薬もいらなかった。

 私は「ほらやっぱりね」と思った。

 

 発達障害者が学校という環境の中で抱えるストレスは心身の機能を狂わしてしまうほどだ。フリースクールや家庭学習がもっともっと一般化されることを切に願う。