言壁の棺

Calm or fact. Choose either.

発達障害の正体は依存症③―症状の考え方について

 発達障害は依存症と言ったが、それは発生機序や障害の捉え方の話である。症状の性質について考える時は、「アルコールの酔い覚め」を参考にするとわかりやすい。

 発達障害の症状は「お酒に酔ったまま活動した場合に起きてしまうこと」に相当する。と言っても、お酒に酔っていない状態で症状が出ているわけだ。

 これは「シラフの意識」と「酔っぱらった脳」を組み合わた状態で生きている人をイメージすれば良い。

   ◇ ◇

 お酒を飲んで酔うと、体が火照ったり、顔が赤くなったり、すぐに感情が昂ぶったり、気持ち悪くなったり、妙に眠くなったりと、いろんな症状が出る。よくある酔いのサインである。でも特に混乱はない。お酒を飲んでアルコールに酔ったということがわかるから、「この状態はお酒のせい」ということになるからだ。

 これが、お酒を飲んでいないのに脳が酔っぱらって、しかも意識はシラフのまま、言動や思考に影響を与えているとすれば?

 そのまま活動したらどうなるだろうか。

 

 ちょっと想像してから続きを読んでほしい。

 仕事をすれば、恐らくその人はケアレスミスをしまくるだろう。手元の様子も見ているはずなのにあやふやになる。人の話も聞いているつもりでも、ちゃんと耳に入らないことが多いはずだ。記憶も曖昧になり、ついさっき見たこと、やったことがすぐわからなくなる。

 人と喋ればなんでもないところで笑ったり、急に不機嫌になったり泣いたりするかもしれない。思ったことがすぐ口から出てしまい、人を怒らせたり傷つけることが多発する。これはお酒の上戸(じょうご)をイメージすると良い。笑い上戸、怒り上戸、泣き上戸など、いろいろ出る人もいれば、どれか一種に特化した人もいる。昨今、発達障害界隈でも話題になるHSP(Highly Sensitive Person)とも絡めて考えてみたい。

 疲れやすくなるので勉強や運動は自ずと疎かになる。簡単なことからやって覚えて習得して次の難易度に進むというステップアップが生涯を通して全くできない。部屋の掃除や健康管理といった日常のメンテもほとんどできなくなる。汚いものが察知できず、細部の違いがわからず同じに見える。

 一つのことに固執し、周りが見えなくなる。行動の原動力が依存症なので本気でやる気になってもすぐ飽きる。常識やTPOにそぐわない言動を平気でしてしまう。そして時間が経つと我に返ったかのように猛反する。二度とするまい、次からは気を付けると心に刻むほど念じまくる。そしてまたすぐに繰り返す。

   ◇ ◇

 これらの症状は、私の考察では「言葉」を要因とした依存症であり、遺伝か環境要因で抱えた症状だが、本人の「能力不足」、あるいは誰の責任でもない「障害」として判断するのが現代社会の回答である。

 努力して何とか克服しようとしても、この社会で生きている限りなにをするにも言葉を使う。努力するにも言葉を使う。アルコール依存症患者が依存症を克服する為に更に酒を飲むようなものだ。これが「発達障害は努力すると悪化する」と語り継がれる理由である。

   ◇ ◇

 私たちは常識的判断として、酔った状態の思考や言動をその人の主人格とは扱わない。仮に酔っぱらって暴れて何かを壊したり人を傷つけたりしても、無論責任は問われるが、「あれがお前の本性だ」なんてことにはならない。同じ人間として扱わないのだ。

 しかし社会は発達障害を「個性」として、社会の一員として受け入れる道をとった。その先にあるものは緩やかな国の自殺である。国民が一人また一人と自殺するのだ。依存症は必ず、最後には死にたくなるからだ。